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≪随筆≫ ロンドン点描 4: アヴェニュー・ガーデン(リージェンツ・パーク)

 市街北側に位置するRegent’s Park(リージェンツ・パークRP)は多様な顔を持つ。南西部のボート遊びが出来る池と周囲の庭園、隣接するローズ・ガーデン(ロンドン紀行3.本会報No.393.p.62-65)、北東部には世界最初の動物園があり、この南には広い芝の空間があり、休日には市民がクリケットなどに興じている(ロンドン点描3.本会報No.397.p.46-48)。そして、小生、未探訪の東南部。
 2011年5月12日早朝、天気予報が外れ、快晴だった。となれば“朝飯前”散歩・・・。ガイドブックを見つつ、急に思いが膨らみ、ホテル至近のパディントン駅から地下鉄ベーカールー線南行きに乗車した。4駅目・所要時間7分程で着いたのがRP駅。初体験の駅だが、案内は分かり易い。低い陽光が射す方を右手に北へ歩いた。
 間もなく木々の多い広い公園に入った。

リージェンツ・パーク駅出口(左上)。北側にある公園の入口(右上)。南北に伸びるベンチが並ぶブロード・ウォーク(下)

 ロンドンの緯度は樺太中部に相当し、朝日が低い。木立の合間から陽が射すが、影となる場所は薄暗さを感じるほどだった。

 後日、調べると南北に数条ある通路に名が付いていた。広めのベンチが並ぶのがBroad Walk(ブロード・ウォーク BW)で、何と、RPの北の端、ロンドン動物園の入り口まで貫いている。

西からジョギングして来た女性(上)の右側がほぼ対称形にイングリッシュ・

ガーデンが配列された南北に伸びるアヴェニュー・ガーデン(下)

 イングリッシュ・ガーデンといえる庭・植え込みが左右ほぼ対称形に連続する散策路がAvenue Gardens(アヴェニュー・ガーデン AV)。彩りが鮮やかであり、ここを北にゆっくりと歩いた。各庭・花々を撮りながら・・・。木漏れ日が強く、陽影とのコントラストが強すぎて、納得し得る写真が撮り難い。困惑・・・。
 時折、右手にBWが見通せる。ここをジョギングする人たち10人近くを見た。南に走る人たちが多かったが、出勤前の時間帯として、自宅への帰路だろうか・・・。小生の自宅は湖山だが、車の排気ガス・人工音のない環境でジョギングは不可能。東京都心では皇居の周囲がジョギングスポットになっているが、車道は近い。両側が木立で、自動車が走らない静寂なBWの何と恵まれたことか・・・。とにかく、ロンドンの公園は多く、広く、充実している。

アヴェニュー・ガーデンにある大きな噴水(上)。朝日に照らされ、空は澄みきった青空(写真はハレーション!)。

散策路の両側に多様な庭園・植込みがほぼ対称形に並ぶAV

 150m程度のAVを北に歩くと行き止まりで、東隣のBWに出た後、車道に出た。BWはさらに北に続くが、小生は車道(Chester Road)を西に歩むと、直ぐに、南に視界が開けた。木々が多く、広い空間はやはりRPの一部で、南側にカフェがあることも分かった。また訪れる機会があれば、このカフェでの休憩も・・・。
 ローズ・ガーデンを経て、西南側からRPの外にた。マダム・タッソー蝋人形館のグリーンの丸い建物を眺めつつ歩き、Baker Street駅前に出て、約1年半ぶりに再会したシャーロック・ホームズの立像に挨拶をして、充実した1時間余の“朝飯前”散歩 を終えた。

AVの北端西方チェスター・ロードから南に広がるリージェンツパーク

 日本と西欧の違いについて、例えば、余暇について話題にすることがある。それは数世紀に及ぶ農業と狩猟の違いに及ぶ。日本は、四季の変化が大きく、機を見て皆が協働することで収穫量が上がる。また、開墾・干拓で、耕地面積を広げること然りである。一方、狩猟は、優れた狩人がいて、獲物を多く獲り過ぎると、次世代が食べるに困ることになる。お腹を満たせる量を獲れば、必然的に余暇時間が生じる。また、森を伐採すると、獲物の住処を奪うことになる。
 数世紀(以上)に及ぶ違いは、当然、遺伝子に組み込まれている。近現代に至って、日本人が“エコノミック・アニマル”と揶揄されたこと、未だに、余暇の過ごし方が拙いこと、そもそも余暇時間が少ないことなど、西欧との対比が目立つ。
 ロンドンの公園に身を置き、リスや鳥たちと人との距離が近いこと(~人が近づいても、逃げないリス、水鳥たちを体験すること)も含めて、体感することが多い。 
 心地良い朝の公園に感謝 : I love LONDON!

(2012/2/1記)

鳥取県東部医師会報 No.398 随筆[ロンドン点描 4 :アヴェニュー・ガーデン]2011年3月号 p.51-52 掲載の原稿

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